【みなと哲学サロン:中級】『永遠平和のために』カント(3/3回)レビュー

『永遠平和のために』読書会、全3回無事終了!

最終回は、予定時間を大幅に越えて議論が白熱しました。

今回は追加条項(第一補説、第二補説)と付録の読解で、議論は主に「自然」と「自由」の関係に焦点があてられました。

カントにおける自然と理性、そしてその関係の解説にはじまり、さらに本文の込み入った論じ方が紐解かれ、いかなる自由を採っても平和を目指してしまうかのような自然の(安全弁のような)あり方も見えてきました。

そして参加者の皆さんからは、「自由」の3つの相を巡って、昨今のデモを例に採るなど様々な意見が出ました。

 

大橋先生からもコメントをいただいております。

今回の部分からは、たんなる平和論の主張だけでなく、カントのすべての哲学の根底に、自然の崇高さへの尊重と、人格の積極的自由という人間観が横たわっていることが、見えてきたのではないでしょうか。自然の意図を根底として、国家間の関係を人格の関係に類比させるカントにとって、各国家がそれぞれ進むべき方向は、世界全体の共通善という普遍法則に自律的に従うことであり、その方向にしか永遠平和はない、という主張であったと思います。現在の各国は、そうした方向に向かっているでしょうか。大きすぎる話にも見えますが、コロナ下の世間で、われわれは何を大事にして自由な行動選択をしているのかという、日々ニュースで問われている問題と、構造は同じです。自分の身近な行動の決定が、世界平和に寄与する方向に向かっているかどうか、どうぞもういちど考えてみてください。

さて、次回は8月1日の哲学サロン、「平和ってなに?」です。

*大橋先生にもご参加いただきます。

*カントやその他、専門的な知識は不要です。

今回の読書会に参加された方も、参加されなかった方も、ぜひご参加ください!

レビューカテゴリーの記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください