初級『存在と時間』ハイデガー【オンライン哲学読書会】レビュー

先日は「何かについてそれが存在していると分かるという驚異」と題して、ハイデガーの『存在と時間』第4節を中心に読みました。

上智大学短期大学部教授の丹木先生、ありがとうございました。

今回は、まずハイデガーの立てた存在への問いがどういうものなのかを考えていきました。ハイデガーは、普段あたりまえに存在すると思っている外界の存在を証明しようとしたのではありません。むしろ、「そうした態度は、人間を意識のうちに閉じ込められたものと見なす誤った前提に立つスキャンダル」だとハイデガーは述べているようです。私たちは「存在」という言葉で予めなにかを理解していて、ハイデガーは、「あらゆる行為や認識において前提とされる存在理解そのものがどのように成り立つのか」を問おうとしたのだそうです。

ハイデガーによると存在は最も普遍的で、定義不可能で、自明です。だから存在への問いは無意味だという考えもありますが、ハイデガーはむしろ、存在を問うことがこのようであるからこそ問うべきだと発想しているようです。

そうして問いは、「存在を理解し、存在への問いを提起しうる存在者である人間」である「現存在」へと向かっていきました。そこから、大森荘蔵やヴィトゲンシュタイン、「盤珪禅師語録」などを手がかりにハイデガーの真意を探っていきました。

現存在は、具体的な世界に自分が存在しているという在り方をしています。世界の内部に自分が存在することがわかるのはどういうことか、いかにして可能なのかという質問もあり、話題は「開示」とは何なのかということ、そして現存在の「内にある」あり方が焦点になっていきました。

世界の内に存在することと存在理解とが密接に関わっているようです。この「現存在は世界のうちに存在する」ということには、かなり意味が凝縮されているようです。その一端として、今回は「住んでいる」というところから「内」ということを考えていきました。世界を自分から区別して外から認識するのがいわゆる主観で、意識内部に客体的に世界が在るというのとは違う考え方です。あたりまえのものとして住まっている、馴染んでいるという感覚でしょうか。

 

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1/9: 上野千鶴子「道なき道の歩き方:女性学はこうして生まれた」【オンライン学びサロン】
1/30: 初級『論理哲学論考』ヴィトゲンシュタイン【オンライン哲学読書会】

 

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