宗教の役割と世界観:創世神話のメッセージ
今回は、「そもそも“宗教”とは何か?」というテーマから始まりました。
田村先生によると、宗教とは「車のハンドル」のようなものです。
それによって進む方向が決まるものではあるのですが、既に取り付けられてあったり、そうでなかったりします。
人は常に、自分の進むべき道、人生の道案内を必要とします。
「生きるってなに?」「幸福ってなに?」「苦しみってなに?」…
私たちの周りには、あまりにもたくさんの謎があります。
ここで人生の道案内となってくるのが個々人の持つ「世界観」です。
人は、色々なルートからこの「世界観」を得ています。
例えば「好きな漫画」であったり、「小説」であったり、または家庭での教育や、学校での経験であったり…
しかし、ほとんどの人が、自分がどんな「世界観」の中に生きているのか無自覚です。
ここで、自分の「世界観」を理解するためには、異なる世界観を理解することが必要です。
この「世界観」の基盤は次の二つの問いにあらわれます。
- この世界はどのように成り立っているのか
- その様な世界の中で、私はどのように生きるべきか
この問への答えとして代表的な世界観は、次の5つです。
- 運命決定論
- この世界は向かおうとする方向性があり、何者かによって定められている
- よって、自分の人生は黙って受け入れるしかなく、自分にできることは少ない
- 楽観論
- この世界は向かおうとする方向性がある
- そのため、自分の人生も最後は上手くいくから何とかなる
- 悲観主義
- この世界は向かおうとする方向性がある
- なので、何をしても無駄である
- ニヒリズム
- この世界は向かおうとする方向性は無い
- よって、生きていることには意味がない
- 建設的世界観
- この世界は、向かおうとする「望ましい」方向性がある
- その世界の方向性は、今生きる自分の生き方にかかってくる
また、この代表的な5つの価値観の他に、「死後の世界」を考えることによっても自分が持つ「世界観」がどのようなものであるかを見ることができます。
そして、これらの様々な世界観を区分すると、3つのタイプに分かれることがわかります。
- まずは、「この世」だけを視野に入れる世界観(唯物論)
- そして、「この世」と「超越的な世界」を視野に入れる世界観
- 最後に、「この世」と「超越的な世界」、さらに「超越者」を視野に入れる世界観
この三に属するものが、宗教と呼ばれるものです。
そして、この「世界観」の中心的質問の一つである「この世界がどのように存在し始めたのか」について答えるのが「創世神話」です。
「神話」と聞くと、「神話なんて嘘だ、ナンセンスだ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、神話とはそもそも、そこに書かれている内容が実際に起こったことであると示すものではありません。あくまでも「伝え方」の一つなのです。
そこに書いてある文章を見て、嘘か本当かを判断すべきではなく、「それが何を伝えようとしているのか」を読み解くことが神話を理解するための第一歩となります。
次回から、いよいよ聖書の内容に入っていきます。
次回のテーマは「自然宗教と啓示宗教/ユダヤ教、キリスト教の起源」です。
参加を希望される方は、創世記第一章~第五十章・出エジプト記一章から二十章を(大まかに、流れをつかめるように)読んでおいてください。
それでは、次回もお楽しみに!